この作品に登場する作家先生のようにわたしもいつかなってみたいものです。
当初は短編のはずだったのですが、思ってたより長くなりそうなので連載にしました。
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当初は短編のはずだったのですが、思ってたより長くなりそうなので連載にしました。
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お屋敷風の玄関で男が呼ばわった。
「先生! 江地田です! 原稿をいただきに上がりました!」
「ほぉ~い、できとるよぉ~、遠慮はいらんから上がってきたまえ」
男はそれでも遠慮がちに靴を揃えて脱ぐと、おそるおそるというふうに廊下を進む。
「座敷におる。早く来なさい」
奥から誘う声に、男は歩みを速めた。
廊下の突き当たりの襖を開けると、座敷の中は陽光に満ちあふれていた。
濡縁との間の障子がすべて開け放たれていたのだった。
「あのぉ、奥様は今日はお出かけで?」
おそるおそる江地田が尋ねる。
このいかつい中年男の作家には不似合いな深窓のご令嬢風の妻に、彼は年甲斐もなくほのかな恋心を抱いていた。
「ああ、あれか? あれならそこにおるよ」
作家が顎を庭のほうに向ける。
その時、江地田は初めて、縁側にうずくまるようにしている人影に気づいた。
まぶしい晩夏の太陽に目が慣れた時、彼は思わず声を上げていた。
縁側にうずくまっていたのは、彼の憧れの令夫人だったのだ。
しかも全裸で。
いや、全裸というだけではない。
薄茶色の縄で高手小手に縛り上げられ、上半身には亀甲に縄掛けされている。
形の良い乳房が上下からきつく縄で締め上げられて、胸の前にうねる長い黒髪がかろうじて片方の乳首だけを隠していた。
腰骨の上にベルトのように巻かれた縄から、前と後ろに縦にY字形に縄が下りていて、淡く煙る繊毛の中に消えていた。
縁側に横座りした夫人は入ってきた江地田の姿を認めるや、ハッとした表情を見せ、彼に背中を向けて座り直すと、心持ちうつむき加減の姿勢を取った。
「あぁ、旦那様。江地田さんに見られるなんて恥ずかしいですわ」
「フッフッフ、そう言いながら感じてしまってるんじゃないのか?」
作家は夫人のそばに歩み寄ると、その長い黒髪を両手で束ねるようにつかみ、縄の切れ端で後頭部の高い位置で結わえた。
時代劇に出てくる若侍のような髪型になり、白いうなじがあらわになる。
「江地田くん、この女をわしと一緒に折檻してみないか?」
作家に彼の本音を見抜かれたような気がして、江地田はゴクッと唾を飲み込んだ。
実は、この作家の作品に登場するヒロインのように、憧れの作家夫人を縛って折檻する、という行為に憧れていたのだった。
「せ、折檻ですかっ?」
江地田は自分の声が上ずっているのを感じていた。
「なぁに、折檻といっても笞でしばき倒したりするわけじゃない。
そういうことをすると、最近は“どめすてっく・ばいおれんす”とやらいうのになってお巡りが飛んできたりするらしいからな」
「で、では、何をすればよろしいのでしょう?」
「これで快感責めにしてやるんだよ」
作家が懐から取り出したのは、化粧に使うチークブラシだった。
それを江地田に渡すと、横座りする夫人の前にしゃがみ込んだ。
「ああ、お許しください。堪忍してください、旦那様」
「うるさいうるさい。余計なことを口にできないようにしてやる」
作家は縁側に落ちていた白い布を拾った。
それは夫人が身につけていたのであろう、レースのショーツだった。
夫人が抗うのを力でねじ伏せ、作家は夫人の口の中に脱いだばかりのショーツを押し込んだ。
小豆模様の和手拭で上から縛り、うなじの後ろできりきりと結ぶ。
夫人はしばらく首を左右に振りながら、うーうーと抗議の声を上げていたが、やがて観念したのか、再び顔を下に向けた。
(つづく)
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検索キーワード:
SM、緊縛、縄、猿ぐつわ、M字開脚、羞恥責め、悶絶
「先生! 江地田です! 原稿をいただきに上がりました!」
「ほぉ~い、できとるよぉ~、遠慮はいらんから上がってきたまえ」
男はそれでも遠慮がちに靴を揃えて脱ぐと、おそるおそるというふうに廊下を進む。
「座敷におる。早く来なさい」
奥から誘う声に、男は歩みを速めた。
廊下の突き当たりの襖を開けると、座敷の中は陽光に満ちあふれていた。
濡縁との間の障子がすべて開け放たれていたのだった。
「あのぉ、奥様は今日はお出かけで?」
おそるおそる江地田が尋ねる。
このいかつい中年男の作家には不似合いな深窓のご令嬢風の妻に、彼は年甲斐もなくほのかな恋心を抱いていた。
「ああ、あれか? あれならそこにおるよ」
作家が顎を庭のほうに向ける。
その時、江地田は初めて、縁側にうずくまるようにしている人影に気づいた。
まぶしい晩夏の太陽に目が慣れた時、彼は思わず声を上げていた。
縁側にうずくまっていたのは、彼の憧れの令夫人だったのだ。
しかも全裸で。
いや、全裸というだけではない。
薄茶色の縄で高手小手に縛り上げられ、上半身には亀甲に縄掛けされている。
形の良い乳房が上下からきつく縄で締め上げられて、胸の前にうねる長い黒髪がかろうじて片方の乳首だけを隠していた。
腰骨の上にベルトのように巻かれた縄から、前と後ろに縦にY字形に縄が下りていて、淡く煙る繊毛の中に消えていた。
縁側に横座りした夫人は入ってきた江地田の姿を認めるや、ハッとした表情を見せ、彼に背中を向けて座り直すと、心持ちうつむき加減の姿勢を取った。
「あぁ、旦那様。江地田さんに見られるなんて恥ずかしいですわ」
「フッフッフ、そう言いながら感じてしまってるんじゃないのか?」
作家は夫人のそばに歩み寄ると、その長い黒髪を両手で束ねるようにつかみ、縄の切れ端で後頭部の高い位置で結わえた。
時代劇に出てくる若侍のような髪型になり、白いうなじがあらわになる。
「江地田くん、この女をわしと一緒に折檻してみないか?」
作家に彼の本音を見抜かれたような気がして、江地田はゴクッと唾を飲み込んだ。
実は、この作家の作品に登場するヒロインのように、憧れの作家夫人を縛って折檻する、という行為に憧れていたのだった。
「せ、折檻ですかっ?」
江地田は自分の声が上ずっているのを感じていた。
「なぁに、折檻といっても笞でしばき倒したりするわけじゃない。
そういうことをすると、最近は“どめすてっく・ばいおれんす”とやらいうのになってお巡りが飛んできたりするらしいからな」
「で、では、何をすればよろしいのでしょう?」
「これで快感責めにしてやるんだよ」
作家が懐から取り出したのは、化粧に使うチークブラシだった。
それを江地田に渡すと、横座りする夫人の前にしゃがみ込んだ。
「ああ、お許しください。堪忍してください、旦那様」
「うるさいうるさい。余計なことを口にできないようにしてやる」
作家は縁側に落ちていた白い布を拾った。
それは夫人が身につけていたのであろう、レースのショーツだった。
夫人が抗うのを力でねじ伏せ、作家は夫人の口の中に脱いだばかりのショーツを押し込んだ。
小豆模様の和手拭で上から縛り、うなじの後ろできりきりと結ぶ。
夫人はしばらく首を左右に振りながら、うーうーと抗議の声を上げていたが、やがて観念したのか、再び顔を下に向けた。
(つづく)
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